THE ETERNAL IDOL Recordings
さて、Rayヴァージョンの「THE ETERNAL IDOL」ですが、メロディもアレンジもほぼオフィシャル通り。Tony MartinはまんまRayヴァージョンをなぞっています。後の諸作に比べ、「THE ETERNAL IDOL」がMartinらしくないメロディと高い声域だった謎がこれを聴いて解けました。Iommi、Ray、Bob…誰がメロディラインを書いたか判りませんが、まったく違うタイプの歌をコピーしたMartinの実力の程が伺えますね。
オランダ盤アナログシングル「THE SHINING」に収録されたレアテイク。恐らく'87年8月のセッションで録音されたと見られ、ヴォーカルはTony Martin。「THE ETERNAL IDOL」のベースはすべてBobですが、ここではDaveとGeoff(!)のプレイが聴けます。最初ベーシストとして「HEAVEN AND HELL」セッションに参加した故事を彷彿とさせますね。ちなみにScarlet Pimpernel以外のドラムはすべてEricのようです。
'86年7月〜'87年8月
Ray Gillenの加入で落ち着くかと思われたBLACK SABBATH。ツアーメンバーそのままに新作「THE ETERNAL IDOL」のためのデモ作りに入ります。('86年7〜8月)このときのデモは出回っておらず、ブートでよく知られているモノとは違うインスト。存在することだけは確かだそうですが…。 STUDIO DEMO 1
1. The Boogie Song
2. Gypsy Warning (Black Moon)
3. One in the Box
4. Speedballs (Lost Forever)
5. The Axeman (Ancient Warrior)
外人さん向けに一言"I do not have it. Please do not ask me." MEMBER
GUITAR: Tony Iommi
VOCAL: Ray Gillen
BASS: DAVE SPITZ
DRUMS: Eric Singer
KEYBOARD: Geoff Nicholls
なかなかスタジオに現れず、来ても彼女と電話ばっかりしてる(苦笑)Dave SpitzがプロデューサーJeff Glixmanと衝突。Daveは休みを取って、代わりにBob Daisleyが参加してセッションを行います。オフィシャル「THE ETERNAL IDOL」はこのメンバーでほとんど録音され、歌詞の大部分もBobが書いた(!)そうです。('86年10月) MEMBER
GUITAR: Tony Iommi
VOCAL: Ray Gillen
BASS: BOB DAISLEY
DRUMS: Eric Singer
KEYBOARD: Geoff Nicholls STUDIO DEMO 2
7. The Eternal Idol
8. Born to Lose (with Guitar solo)
9. Lost Forever
10. Nightmare ←ポイント!
11. Hard Life to Love
12. Glory Ride
13. Ancient Warrior
14. The Shining
“Rayのデモ”で有名なブート。1〜6はRayの歌うライヴのFMソースです。オフィシャルと聴き比べると流石に聴き劣りしますが、普通に聴く分にはなんの問題もなく楽しめるほどクリア。Born to Lose以外にギターソロがない初期ヴァージョンで、Nightmareを収録しているのが重要なポイントです。このCDは「THE RAY GILLEN YEARS」(下記)に“デジタルリマスターを施したもの”として出回っていましたが、これは誤りです。 STUDIO DEMO 3
7. Glory Ride (with Guitar solo & Extra ending)
8. Lost Forever (with Guitar solo)
9. The Eternal Idol
10. The Shining (with Extra ending)
11. Hard Life to Love (with Guitar solo)
12. Ancient Warrior (with Guitar solo)
13. Born to Lose (with Guitar solo)
出回ったのは「COMPLETE〜」より先ですが、録音はこちらが後。「COMPLETE〜」にはないギターソロが追加されたデモで、Glory RideとThe Shiningのエンディングが少し長く、Rayの即興?フレーズが楽しめます。(The Shining、The Eternal Idolはソロがないまま)逆に「COMPLETE〜」に入っているバックヴォーカルが抜けている曲もありますね。聴いた感じでは基本的なテイク自体は同じで、オーバーダブが違うんだと思います。
オフィシャルと違うとは言えギターソロがあると曲もグッと締まるんですが、「COMPLETE〜」よりも数段音質が落ちるのが欠点。“いかにもデモブート”といった雰囲気のこもりと歪みがあります。どちらが良いとも言えませんねぇ……これは。
とは言え、Rayのヴォーカルもオリジナルならではの凄味を聴かせ、メロディも実にしっくりと馴染んでいる。カン高い声により心持ち「SEVENTH STAR 2」っぽい印象を受けましたので、「SEVENTH STAR」が好きな方にはRayの方が気に入るかも知れません。ちなみに、オフィシャルのNightmareで聴ける笑い声の主はRay Gillenその人。
作業を進めるうち('86年11月〜'87年3月)バンドの将来に不安を持ったEric Singer、Ray Gillenが次々とSABBATHを去ります。残ったBobに正式加入の打診もされますが、BobはGARY MOORE BANDを選択。そして、以前にも加入が検討されたTony Martin、BORN AGAINツアーで叩いたBev Bevan、休み明け?のDave Spitzを迎えたSABBATHは、ショートツアーとメンバーチェンジ(苦笑)の傍ら、新作のレコーディングを仕上げに入ります。Martinの録音はたった8日間だったそうで、Rayヴァージョンそっくりなのも納得ですね。('87年3〜8月) STUDIO RARE TRACKS
DISC 2
12. Black Moon (Original Version)
13. Some Kind of Woman MEMBER
GUITAR: Tony Iommi
VOCAL: TONY MARTIN
BASS: GEOFF NICHOLLS (Black Moon)
and DAVE SPITZ (Some Kind of Woman)
DRUMS: Eric Singer
KEYBOARD: Geoff Nicholls
Black Moon (Original Version)は「HEADLESS CROSS」収録と同曲ながら多少まったりした別ヴァージョン。Some Kind of WomanはまるでVAN HALENみたいなアップテンポナンバーで、SABBATHとは思えないほど(笑)活きが良いナンバーです。ジャケはブートCD「MARTIN YEARS」。本当はオリジナルのシングルを載せられれば良かったんですが、私はCD世代だし。(苦笑)>>「MARTIN YEARS」特集へ