'83年8月27日READING MUSIC FESTIVAL, ENGLAND
Reviewed by HorseRace


 Ian Gillan参加したSABBATHの、事実上のお披露目ステージ。Ianはかつてここが地元だったと言う事もあり、GILLAN時代からREADING FESTIVALの常連で、ファンの声援も絶大。この編成持つ、他の時代にない豪快な破壊力とロックンロールのグルーヴを味わうには最適のライヴだ。この日のAUD音源とFM音源を聴き比べ、録音の違いや背景のちょっとした謎を楽しんでみよう。

MEMBER
GUITAR: Tony Iommi
VOCAL: Ian Gillan
BASS: Geezer Butler
DRUMS: Bev Bevan
ADDITIONAL KEYBOARD: Geoff Nicholls

FM SOURCE in「CHICAGO '83」
DISC 2
4. Hot Line
5. War Pigs
6. Black Sabbath
7. Zero the Hero
8. Digital Bitch
9. Iron Man
10. Smoke on the Water
11. Paranoid

<HorseRace's REVIEW>
 まずは聴きやすいFM音源。'83年のSABBATHのライヴは評論家筋から、「歌詞もろくに覚えていない」とか、「SABBATHの栄光を汚した」などと散々な言われようだったが、これを聴けば必ずしもそうは言えなくなるはず。
 それどころかWar Pigsラストのシャウトに、Black Sabbathでのあまりにも下品で邪悪な笑い声などは、Ianでしか出せない味わいだ。常々Smoke on the Waterが批判されるが、実にヘヴィでタフなアレンジで、RAINBOWのヴァージョンより好感が持てるくらい。
 圧巻はParanoid。「Can you help me occupy my brain?」から続く「Oh yeah!」を観客が合唱し、そこに渾身のシャウトをかぶせるIanの格好よさは、この曲を歌った歴代シンガーの中でも、Gillanが一番だと私に信じさせている。
 「BORN IN HELL」と較べて高音が強く、また歓声のミックスが大きめと、長時間聴くには疲れる音ではあるが、それが逆に通常のライヴとは違う、フェスティヴァルならではのテンションを感じさせる。Children of the GraveやBorn Againなどがカットされているのは確かに不満だが、Ianの喉の調子も良好で、なかなか充実した音源だと思う。

AUDIENCE SOURCE in「SMOKE ON THE WATER」
DISC 1
1. Intro〜Supertzar
2. Children of the Grave
3. Hot Line
4. War Pigs
5. Born Again ←ポイント!
6. Supernaut〜Drum solo
7. Rock'n'Roll Doctor
8. Disturbing the Priest
9. Keep It Warm ←ポイント!
DISC 2
1. Black Sabbath
2. Zero the Hero〜Guitar solo
3. Digital Bitch
4. Iron Man
5. Smoke on the Water
6. Paranoid

  • BOOTLEG CD「SMOKE ON THE WATER」
<HorseRace's REVIEW>
 こちらは同日のAUDブート。音質そのものは現地のPAシステムのせいか割れ気味で、また観客の話し声が大きく入る箇所もあるなど、必ずしも聴きやすい音源ではないが、フェスティヴァルの空気を偽りなく丸ごと納めている点で、大きな資料的価値がある「証拠品」と言えるだろう。またセットリストにBorn AgainとKeep It Warmが入っているのも、見逃せないポイントだ。
 「DEHUMANIZAR REHEARSALS」特集でのSIRENさんの表現を借りれば、こちらは野外の広い空き地にでもアンプとスピーカーを立てて、大音量で音を浴びてフェスティヴァルを仮想体験したら面白いアイテム…近所迷惑な話だけど(笑)。

 両者の音源でのDigital Bitchには明らかな相違がある。AUDではギランの声が裏返り、歌詞が出てこないなど明らかなリハーサル不足が認められたが、FMではオリジナルアルバム同様によどみなく歌詞が流れ、歌声も落ち着いている。(その上FMでは同曲の前後に、編集を行ったような不自然な繋ぎの跡が見られる)かつてCATHEDRALのLee Dorrianがインタビューで、「アルバムは良かったがライヴは別。歌詞すら覚えていなかった」と言ったのは、この事を指すのではないだろうか?
 READING FESTIVALはBBCが収録して、編集した上で後日の音楽番組で放送していたから、番組担当者が同曲の出来の悪さに頭を抱えて、別日の音源かスタジオライヴ演奏に差し替えたと考えられる。

HorseRace

<SIREN's P.S.>
 とにもかくにも、FMソースに差し替えがあったのはビックリ! いろいろな音源サイトを巡ってるつもりだったんですが、まったくの初耳。こういう発見があるのもAUDこそ真実そのものだからですね。また、mp3で掲載した以外にもまったく歌ってない箇所も多々あり、かといってFMもアルバムテイクの重ねとは違う。面白い! しっかし、HorseRaceさんもよく見つけましたねえ…凄(笑)
 そのFMソースは2枚組ブート「CHICAGO '83」のオマケ(右図)として収録されていて、他は別日のAUD録音。1枚物の「READING FESTIVAL 1983」もありますが、こちらはピッチが低く、歓声が大きい。フェイドのタイミングも多少違いがあるようです。音痴な私には断言できませんが、たぶん「CHICAGO '83」の方が正しいピッチだと思います。「READING〜」の低音、格好いいんですけどね。(笑)
 BORN AGAINツアー初期は「HEAVEN AND HELL」からの曲もなく、私にとってもかな〜り好みなセットです。
(Voice of SIREN)


BORN AGAIN Tour

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