全曲の演奏回数(1997〜2005年) |
順位 |
曲 名 |
実測 |
推計 |
演奏率 |
収録アルバム |
1位 |
Paranoid |
179 |
203 |
100% |
PARANOID |
War Pigs |
179 |
203 |
100% |
PARANOID |
3位 |
Black Sabbath |
178 |
202 |
99.5% |
BLACK SABBATH |
4位 |
Iron Man |
176 |
200 |
99% |
PARANOID |
Children of the Grave |
176 |
200 |
99% |
MASTER OF REALITY |
6位 |
Into the Void |
168 |
192 |
95% |
MASTER OF REALITY |
7位 |
N.I.B. |
159 |
182 |
90% |
BLACK SABBATH |
8位 |
Fairies Wear Boots |
156 |
172 |
85% |
PARANOID |
9位 |
Snowblind |
122 |
142 |
70% |
VOL. 4 |
10位 |
Electric Funeral |
114 |
124 |
61% |
PARANOID |
11位 |
After Forever |
101 |
108 |
53% |
MASTER OF REALITY |
12位 |
Sweet Leaf |
93 |
103 |
51% |
MASTER OF REALITY |
13位 |
Dirty Women |
77 |
78 |
38% |
TECHNICAL ECSTASY |
14位 |
The Wizard |
51 |
60 |
30% |
BLACK SABBATH |
15位 |
Scary Dreams |
23 |
31 |
15% |
新 曲 |
16位 |
Lord of this World |
12 |
15 |
7% |
MASTER OF REALITY |
Spiral Architect |
12 |
15 |
7% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
18位 |
Sabbath Bloody Sabbath |
11 |
14 |
7% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
19位 |
Tomorrow's Dream |
7 |
7 |
3% |
VOL. 4 |
20位 |
Behind the Wall of Sleep |
4 |
4 |
2% |
BLACK SABBATH |
21位 |
Under the Sun |
2 |
2 |
1% |
VOL. 4 |
22位 |
Cornucopia |
1 |
1 |
0.5% |
VOL. 4 |
Killing Yourself to Live |
1 |
1 |
0.5% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
※実測:
音源情報やコンサートレビューのセットリストから数えました。これで全日程203公演の9割ほど。
※推計:
全日程の推定演奏回数。曲目情報がない残り1割の日程は、前後のライヴと同じにしてカウントしました。わりとセットリストを固定するバンドなので、実際と大した差はないと思います(むしろ、レビューの記憶違いの方が怖い:苦笑)。
※演奏率:
「推計」を元にした確率。降水確率みたいなもので、仮にライヴを観たら何%くらい期待できるかってことです。
※代役のステージ:
Bill Wardの代役が叩いたツアーやRob Halfordが歌った2004年のCamden公演もカウントの対象です。「Original SABBATH」として計画されたライヴですし、代役だからって曲目が変わるわけでもないですからね。ちなみに代役分のステージを抜いた集計でもN.I.B.が同率1位になるくらいで他に大差ありません。
|
※TV出演や飛び入り:
「Paranoidを一発!」のような演奏は除外。入れても他の曲がコンマ数%落ちるだけで、結果は同じです。
※音源情報とライヴレビュー:
両者が食い違う場合は、基本的に証拠のある音源情報を重視しました。あくまでケース・バイ・ケースですけどね。
※その他:
以下の曲はカウントから除外。そこまでちゃんと把握している録音やレビューが少なく、混ぜると不確実になるためです。
●ショウの前後に流れる録音曲:Sabbath Medley、Supertzar、Changes、Kashmir、Robin Hood
●イントロ小曲:Wasp、Bassically、Embryo、Orchid、A Bit of Finger
●さわりだけ演奏された曲:Supernaut、Symptom of the Universe、Sweet Leaf、Sabbath Bloody Sabbath(Sweet LeafとSabbath Bloody Sabbathはフル演奏と思われる場合のみカウント)
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そこで気になってくるのがバンド自身の結論。「これぞSABBATH」に不可欠なのはどんな曲だったのか?
それを探るべく、この9年間で披露された曲の演奏回数を数えたのが右表です。細かいことは表注を見ていただくとして、重要なのは「演奏率」。これで順位を決めてまして、高い曲ほどバンド自身が「不可欠」と考え(そして実行し)ている、というわけですね。
見てみると1位〜同率4位までの5曲は演奏率99%以上。「絶対の5曲」ですね。歴代シンガーも歌ってきましたし、この5曲がそろってないだけで「超レアな日」になるくらいです。
ただ、この5曲だけでコンサートは成り立たず、どんなに少なくても8位のFairies Wear Bootsまでは必要。これを「核の8曲」と呼ぶことにします。
1. War Pigs
2. N.I.B.
3. Fairies Wear Boots
4. Into the Void
5. Black Sabbath
6. Iron Man
7. Children of the Grave
8. Paranoid
これが「核の8曲」。ランキングの上位8曲なだけでなく、実際に演奏されたことのあるオーダーです。(イベントやTV出演、トラブルを除き)これ以上短いステージはなく、「最も厳選されたセットリスト」とも言えます。
また、この曲順も極めて重要でして、実は全公演の半分以上がこの流れを基本としています。もちろん、ツアーや機会ごとにセットリストも違うわけですが、基本的にこの8曲のすき間に他の曲を挟む構造が多いのです(下図)。
順番まで同じままセットリストの骨子になる「核の8曲」 |
BIRMINGHAM NEC '97 |
OZZFEST '98 |
World Tour '99 |
OZZFEST 2004 |
War Pigs
Behind the Wall of Sleep
N.I.B.
Fairies Wear Boots
Electric Funeral
Sweet Leaf
Spiral Architect
Into the Void
Snowblind
Lord of this World
Sabbath Bloody Sabbath
Dirty Women
Black Sabbath
Iron Man
Children of the Grave
Paranoid
|
War Pigs
N.I.B.
Fairies Wear Boots
Snowblind
Into the Void
Spiral Architect
Lord of this World
Sweet Leaf
Electric Funeral
Sabbath Bloody Sabbath
Black Sabbath
Iron Man
Children of the Grave
Paranoid
|
War Pigs
N.I.B.
Fairies Wear Boots
After Forever
Electric Funeral
Sweet Leaf
Into the Void
Snowblind
Black Sabbath
Iron Man
Children of the Grave
Paranoid
|
War Pigs
N.I.B.
Fairies Wear Boots
Into the Void
Black Sabbath
Snowblind
Iron Man
Children of the Grave
Paranoid
|
赤い字の5曲がトップ5で、さらに8位までのオレンジ字の3曲を加えたものが「核の8曲」。ご覧の通り、この8曲だけ拾ってみると順番まで同じ。しかも、この8曲はスタートダッシュとクライマックスという重要な位置に配置され、まさに「ライヴの要」となっているのがよく分かります。それに比べ、9位以下の曲(白文字)は位置も流動的でセットの中の役割が定まっていないようです。
この8曲のライヴ盤があれば「究極のベスト盤」代わりになるんですが、そうそう話は簡単ではない。ほとんどの場合は他の曲も追加されて、「核の8曲」だけのライヴとなるとわずか3〜5公演しかありません。その中でマトモな音源となると……実はRob Halfordの歌った2004年のCamden公演だけなんですよね。偶然とは言え、貴重な記念共演なだけでなく「究極のベスト選曲」でもあったとは、私も驚きました。
それでは「核の8曲」以外の曲も見ていきましょう。「演奏率」をグラフにしてみると、ワンランクの最大差(15%)でガクッと落ちる箇所が2つあります。8位Fairies Wear Boots〜9位Snowblindの間と、14位The Wizard〜15位Scary Dreamsの間(右図)。
意識的にか無意識的か、ここに曲の扱いの“壁”があるらしく、セットリストの組み方とも符合しています。これに合わせ、本ページでは「核の8曲」「中堅曲」「少回数曲」の3つに大別します。
ブレンドで“色”を生む「中堅曲」
A. 「核の8曲」に次ぐ準レギュラー曲 |
順位 |
曲 名 |
演奏率 |
収録アルバム |
9位 |
Snowblind |
70% |
VOL. 4 |
10位 |
Electric Funeral |
61% |
PARANOID |
12位 |
Sweet Leaf |
51% |
MASTER OF REALITY |
B. 気分を変えたいときの重宝曲 |
順位 |
曲 名 |
演奏率 |
収録アルバム |
11位 |
After Forever |
53% |
MASTER OF REALITY |
13位 |
Dirty Women |
38% |
TECHNICAL ECSTASY |
14位 |
The Wizard |
30% |
BLACK SABBATH |
「演奏率30〜70%」が中堅曲。その中でも特に左の「A」は「核の8曲」に次ぐ演奏頻度です。代表曲と呼んでもおかしくない知名度ながら、絶対欠かせないというほどでもない。「準レギュラー」とでも呼べそうな曲達です。
「B」は「ちょっと変わったセット」に使用される曲。レア曲なわけではなく、忘れた頃に度々復活してはツアーを通して演奏されます。順位はSweet Leaf(12位)よりAfter Forever(11位)の方が上ですが、扱いではコチラのようです。
「核の8曲」に「A」「B」をブレンドすることでセットリストの基本が形作られており、配合によってセットの個性が変わっていくわけですね。
ここでも上位と同じく1st〜3rdの曲が多いですが、「VOL. 4」のSnowblind、「TECHNICAL ECSTASY」のDirty Womenも顔を出しています。両曲にはそれぞれ'70年代中〜後期を代表する役目もあったように思われます。
消えていった「少回数曲」
C. 次第に演らなくなった脱落曲 |
順位 |
曲 名 |
演奏率 |
収録アルバム |
16位 |
Lord of this World |
7% |
MASTER OF REALITY |
Spiral Architect |
7% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
18位 |
Sabbath Bloody Sabbath |
7% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
D. サプライズで終わった単発曲 |
順位 |
曲 名 |
演奏率 |
収録アルバム |
15位 |
Scary Dreams |
15% |
新 曲 |
19位 |
Tomorrow's Dream |
3% |
VOL. 4 |
20位 |
Behind the Wall of Sleep |
2% |
BLACK SABBATH |
21位 |
Under the Sun |
1% |
VOL. 4 |
22位 |
Cornucopia |
0.5% |
VOL. 4 |
Killing Yourself to Live |
0.5% |
SABBATH BLOODY SABBATH |
次は「演奏率15%以下」の少回数曲。感覚としては「試したけどイマイチ」といったところでしょうか。右の「C」は記念すべき「REUNION」でセットに登場するものの、次第に演奏回数が減っていき、消えてしまいました。長くても'99年の初頭までですね。その後はSabbath Bloody Sabbathのリフがちょっとプレイされる程度です。
「D」の6曲は、わずか数回だけ試して消えた幻の曲です。「REUNION」で馴染みのあるBehind the Wall of Sleepも演奏はたったの4回でした。新曲のScary Dreamsは演奏回数だけ見ると30回近くもある「C」以上の曲なのですが、結局レコーディングもされずに2001年の1ツアーだけで消えてしまいました。
この辺になるとほとんどが「VOL.4」「SABBATH BLOODY SABBATH」からの曲ですね。私には一番ツボな時期なんですケド(苦笑)。この他、「SABOTAGE」からはSymtom of the Universeのリフだけがたまにプレイされる程度(リハーサルはしたそう)で、「NEVER SAY DIE」からは一切取り上げられませんでした。
風変わりのスタンダード
OZZFEST 2001 |
|
World Tour 2005 |
|
Intro: Sabbath Medley |
N.I.B. |
1 |
N.I.B. |
Snowblind |
2 |
After Forever |
Under the Sun |
3 |
War Pigs |
Fairies Wear Boots |
4 |
Dirty Women |
Scary Dreams |
5 |
Fairies Wear Boots |
War Pigs |
6 |
Electric Funeral |
Iron Man |
7 |
Iron Man |
Into the Void |
8 |
Into the Void |
The Wizard |
9 |
Black Sabbath |
Black Sabbath |
10 |
The Wizard |
Paranoid |
11 |
Paranoid |
Children of the Grave |
12 |
Children of the Grave |
Outro: Changes |
前述した通り、再結成ステージの半分以上は「核の8曲」が順番もそのままにセットの骨子となっていました。その一方、オリジナルを続けるうちに飽きてきたのか、時折、風変わりなオーダーを演るようにもなります。その代表的なものが2001年と2005年です(左図)。
この2つでも「核の8曲」はすべて演奏されてますが、構造が大きく異なります。ポールポジションがN.I.B.、アンコールがChildren of the Graveなだけでなく、「核の8曲」の並びがことごとく崩されています。
また、この2つ同士はよく似てもいます。特にIron Man以降の後半部はThe WizardとBlack Sabbath順番が逆なだけで、終演BGMのChangesまでもが同じ。そもそもThe Wizard自体が、この構造の時にだけ演奏される曲です。これが「風変わりにしたい時の定型」のようですね。