DIO with WHITESNAKE Tour '84
'84年7月17日〜30日(+6月11日、29〜30日)


 '84年3月にBORN AGAINツアーが終了すると再び沈黙を余儀なくされるBLACK SABBATH……とは全然関係なく(笑)その数ヶ月後には関係メンバーによる面白いツアーが実現しようとしていました。元メンバーRonnie James Dio&Vinny AppiceによるDIOと、未来のメンバーCozy Powell&Neil Murrayを擁するWHITESNAKEのジョイントツアーです。当サイトでは基本的に関連バンドを扱いませんが、"MOB RULES"、"TYR"ラインナップのうち4人もが同じ日、同じステージに立つツアーですので特別に取り上げてみました。

MEMBER / WHITESNAKE
VOCAL: David Coverdale
GUITAR: John Sykes
BASS: NEIL MURRAY
DRUMS: COZY POWELL

ADDITIONAL KEYBOARD: Richard Bailey
   MEMBER / DIO
VOCAL: RONNIE JAMES DIO
GUITAR: Vivian Campbell
BASS: Jimmy Bain
DRUMS: VINNY APPICE
KEYBOARD: Claude Schnell

7月17日 Bakersfield公演
7月18 or 19日 Manteca公演
7月20日 Irvine公演
7月21日 Sacramento公演
7月22日 Watsonville公演
7月24日 SPOKANE公演
7月26日 Seattle公演
7月27日 Portland公演
7月28日 San Bernardino公演
7月30日 Mesa公演
 SABBATHを脱退したRonnieとVinnyはDIOを結成、この年にはBLACK 'N BLUEとWHITESNAKEをサポートに2ndアルバム「THE LAST IN LINE」のツアーを行います。前年のMONSTERS OF ROCKにおいてDavid CoverdaleがDIOを招待した返礼として、WHITESNAKEをアメリカツアーに招いたわけです。
 WHITESNAKEの歴史は割愛しますが、当時は歴史上唯一の「シングルギター+サポートキーボード」の4人組になったばかりにあたります。正味2週間、わずか10公演の短いジョイントでしたが、6公演目のSpokaneはDIO、WHITESNAKEともWestwood Oneの番組「IN CONCERT」で放送され(放送日は別々)、ブートレッグとして現在も語り継がれています。さらにオープニングアクトのBLACK 'N BLUEもいましたが、こちらは放送されたという話は聞いたことがありません。


'84年7月24日SPOKANE COLUSIUM, WASHINGTON

DISC 2 / WHITESNAKE
1. Introduction
2. Gambler
3. Guilty of Love
4. Love Ain't No Stranger
5. Walking in the Shadow of the Blues
6. Slow an' Easy
7. Guitar intro.
8. Crying in the Rain
9. Soldier of Fortune
10. Ready an' Willing

 同日同会場の2バンドを収めた2枚組ブートのWHITESNAKE編。このディスクにはDIOの'85年10月1日Lakefront公演も収められています。>> SACRED HEART Tourへ
 WHITESNAKEは前座なので曲数も少なくこれでノーカット。同ツアーのAUD記録を調べてみると2日前のWatsonville公演がまったくの同一セットで、4日前のIrvine公演でも曲数・時間は同じ(Ready an' Willingの代わりにFool for Your Loving)でした。この編成で70回以上行われたライヴのうち60回ほどがアメリカでのサポート役でして、もっと長いステージはSt.Gallenフェス(後述)、日本公演、ROCK IN RIOくらいのようです。>> SLIDE IT IN Tour (Part 3)へ
 放送原盤起こしと思われる音質はほぼ完璧。既発ブート「SPOKANE'84(下画像左)」の頃から音質・演奏ともに4人組WHITESNAKEで一番好きな音源でしたが、比べるとさらにダイレクト感のあるサウンドで時間も1分ほど長め。曲順も正しくなり、プツッと切れる編集跡やノイズもほとんどありません。

DISC 1 / DIO
1. We Rock
2. Mystery
3. Shame on the Night
4. Children of the Sea
5. Heaven and Hell
6. 〜Guitar solo
7. 〜The Last in Line
8. 〜Heaven and Hell (reprise)
9. Eat Your Heart Out
10. Stand up and Shout
11. Holy Diver
12. Drum solo
13. The Mob Rules
14. Don't Talk to Strangers
15. Rainbow in the Dark
16. Man on the Silver Mountain
17. 〜Long Live Rock'n'Roll
18. 〜Man on the Silver Mountain (reprise)
19. Budweiser (CM Song: Studio track)

  • BOOTLEG CD「DEFINITIVE SPOKANE」
 こちらはDisc1のDIO編。先に収められていますが、出演はDIOが後です。これでフルセットかどうかは分かりませんが、私の知る限り3種類ある放送原盤のうちもっとも長い「IC-85-06」と同じで放送分のすべてと思われます。この日は放送以外にも公式シングル「MYSTERY」にEat Your Heart OutとDon't Talk to Strangersが採用されるほどでして、それも納得の演奏とサウンドは見事にオフィシャル級。数あるSBD/FMの中でも屈指の充実度ですね。
 既発「SPOKANE'84(上画像右)」と比較するとShame on the Night、Children of the Seaが追加され、ノイズもほとんどないサウンドは「DEVINITIVE〜」が確実に上。細かいところでは冒頭のDJがなく、CM部分がフェイド処理になっています。また既発にはあった「Don't Talk to Strangers前後のMC」がないのもビックリ。シームレスな「DEFINITIVE〜」が放送に忠実なのは明らかで、CM部分でもないのに編集跡のある「SPOKANE'84」は何のテイクを繋いでいたんでしょうか? CMと言えば同じ原盤にあるBudweiserのCMソングも収録されており、結構コレが面白いテイクでした。(笑)

 SABBATHフリークとしては過去と未来のメンバーの競演が最高の形で残っている幸運に尽きるわけですが、それを抜いてもこのSpokane公演は本当に素晴らしい。Ronnieは長いキャリアでも自身のバンドが今まさに絶頂に達しようとする時期にあり、WHITESNAKEもアメリカ侵攻の野心に燃える、過渡期と呼ぶにはあまりにも充実したステージが眩しい。双方にとっても時代を代表する音源の1つでしょうし、公式はだしの内容ながらオフィシャルでは決してあり得ないカップリングも嬉しいアイテムでした。(ボーナスが同日のBLACK 'N BLUEなら理想的だったんですが…さすがに無い物ねだりですね:苦笑)
 このジョイントの最終日となる7月30日の後、WHITESNAKEは翌日にはSUPER ROCK'84を含む日本ツアーへ飛び、一方のDIOは前座をTwisted Sisterに代えて2日後の8月1日から全米ツアーを続行。それぞれの道へと戻っていきました。>> THE LAST IN LINE Tour, SLIDE IT IN Tour (Part 3)へ


 さて、SABBATHから離れた寄り道ページでしたが、ここでさらに余談を。(笑)7月のDIO+WHITESNAKEジョイントは双方にとって本格的なツアーのド頭にあたるわけですが、さらに先立つ6月には双方とも肩慣らし的な1回単発のフェスティバル出演も行っています。DIO、WHITESNAKEで日時も場所もまったく別ではありますが、どちらも放送用音源が残っており、両バンドをSpokane中心に考える私には同じ位置にあるソースなのでオマケ(笑)の特集です。

PINKPOP FESTIVAL / DIO
'84年6月11日PINKPOP FESTIVAL, GELEEN, HOLLAND
DISC 1

1. One Night in the City
2. We Rock
3. Holy Diver
4. Stargazer
5. Heaven and Hell
6. Rainbow in the Dark
7. Man on the Silver Mountain
8. Starstruck
9. Man on the Silver Mountain (reprise)
10. Don't Talk to Strangers

  • BOOTLEG CD-R「THE PHILOSOPHY OF EVIL」
 「THE LAST IN LINE」発表に伴う一発目、ジョイントツアー前に行われた唯一のステージです。ここで取り上げたのは同年10月20日のAUDと抱き合わせたオランダ公演2枚組ブートのDisc1でFMソース。他に「MAXIMUM EVIL」やOne Night in the City、We Rockの映像を収めた「MASTER SEQUENCE」等もあります。>> THE LAST IN LINE Tourへ
 Spokaneと違って原盤情報が見つからず、当日の演奏分はおろか放送分のすべてなのかも分かりませんが、One Night in the Cityスタートってことはないような……どうでしょう? StargazerやStarstruckに「HOLY DIVER」ツアーの面影が残っていますね。少々ノイジーですが、なかなか良好で迫力ある音質は好印象。ただ、肩慣らしのせいか勢いやキレはあまり感じられず、じっくりと確かめるようなヘヴィな演奏です。特に初披露となるWe Rockのボロボロぶりは結構楽しいですよ。(笑)

ST. GALLEN FESTIVAL / WHITESNAKE
'84年6月29日ST. GALLEN REHEARSAL LIVE, SWITZERLAND
1. Walking in the Shadow of the Blues
2. Equipment trouble happened, Sykes suddenly played Ozzy's "I Don't Know"riff.
3. Guilty of Love
4. Fool for Your Loving
'84年6月30日ST. GALLEN FESTIVAL, SWITZERLAND
5. Ready an' Willing
6. Slow an' Easy (cut in)
7. Walking in the Shadow of the Blues
8. Love ain't No Stranger
9. John Sykes guitar introduction
10. Crying in the Rain〜Soldier of Fortune
11. Ain't No Love in the Heart of the City
12. Fool for Your Loving
13. Thank you audience〜Slide It In
14. Don't Break My Heart Again

  • BOOTLEG CD-R「SLIDER」
 こちらはジョイントツアーの約半月前に行われたスイスのフェスティバル。4人組での一発目で、29日はフェスのウォームアップギグ、30日が本番のヘッドライナーです。FMらしくDJが入っていますが、やはり原盤情報は見つからず、放送・当日の詳細は分かりません。
 肝心の音質はあまり誉められたものではなく、音飛びや耳障りなノイズも多い。まぁレアな編成かつ一発目の貴重度を考えれば……ってところですね。(苦笑)Sykes1人で弾くFool for Your Lovingが2テイクもあるのも貴重で、他にFM/SBDソースはないと思います。取り上げたCD-R以外にも「CRYING IN THE SWITZERLAND」に30日分だけ収録されていますが、例によって(笑)未聴。
 29日はもう無茶苦茶でして構成はミスるわ、トラブルで音が出ないわ、CoverdaleのMCは苦しいわ、とんでもないことになってます。その中で耳を惹くのはSykesが指慣らしにI Don't Knowのリフを弾き出すところ。Ozzyのソロバンドに入るかも知れなかったわけですし、やっぱり練習してたんでしょうか。(笑)それに比べると30日の本番はかなりマトモですね。
 このフェス出演の後、2週間休んだWHITESNAKEは7月14〜16日に再びリハーサル(笑)を行い、Spokaneを含むDIOとのアメリカツアーを開始するわけです。
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