SLIDE IT IN Tour (Part 3)
曲によってはソロも取るBaileyをサポートと呼ぶのはいささか失礼な気もしますが「決められたパートで決まったフレーズを弾く」とも言え、曲の要所で自在に即興を挟むオルガニストとは“立場が違う”ようです。キーボードvsギターのフレーズ合戦よりもギターオリエンテッドに焦点の絞られたアンサンブルはいかにも80年代的で、オルガンよりシンセ音の比重も高まって“ブルーズをルーツに持つメタルバンド”といった趣ですね。このサウンドをあと3年早くモノにしていればIRON MAIDENとJUDAS PRIESTに挟まれて悩むこともなかったでしょう(笑)。6〜5人組ではまったく同じだったセットも変化し、Here I Go Againとキーボードソロタイムが消え、DIOの前座ツアー中盤を最後にFool for Your Lovingもプレイしなくなります。
オフィシャルVHSの編集作業中と思われる、ショウの完全収録プロショットDVD。公式物が世に出ているために数段落ちる音質・画質が気になりますが、ブート基準では「こんなもんだろう」という感じ。「WHITESNAKE TOKYO 8.11.1984」という妙なテロップ(埼玉だし)が常に表示されています。観ているうちに馴れてしまいますが、音質は少々こもりがあるもののバランスは良好。残念ながらCrying in the Rainではドラム以外がオフになってしまう(収録トラブル?)シーンもあります。
「KINGS OF THE NIGHT」の翌日を同様に収めたプロショットDVD。画質・音質、テロップもほぼ同様ですが、こちらの方がベースとキーボードが聴きやすくバンドアレンジを確認するのに重宝します。特に復帰後のMurrayを聴き込むにはベストのアイテムではないでしょうか。それ以上にトリではなく日中出演のためドラムソロのないセットなのが一番の違いです。
「SERPENS ALBUS」のデモとリハーサルを収めたブートレッグ。ボーナスには2000年のクリスマスライヴのFM音源が収められています。初のソロライヴになるのかな? メンバーや詳細は分かりません。
'84年6月29日〜'86年
ここではJon Lord脱退からCozy Powell脱退、そして「SERPENS ALBUS」録音までの4人組WHITESNAKEを扱います。Lordが抜けた後、Richard Bailey(Bernie MarsdenやMel Galleyの人脈)を雇いましたが、あくまでサポート。正式メンバーでなかったのは4人組の精悍なイメージに惚れ込んだレコード会社(John Kalodner?)の意見だそうです。この時点ではMel Galleyは解雇されず、給料も支払われていました。が、パンフレット等ではGalley抜きの4人ショットが使われ始めてもいます。
4人組のライヴスケジュール
'84年6月15日
《Richard Baileyをツアーメンバーに雇用》
6月26〜28日
リハーサル
6月29日
St.Gallen Festivalのサウンドチェック
6月30日
St.Gallen Festival公演
4人組初日
7月14〜16日
再びリハーサル
7月17〜30日
米国ツアー(DIOの前座)
10公演
8月4〜16日
日本公演(SUPER ROCK '84含む)
8公演
8月26日
《Mel Galleyに解雇通知》
9月8〜9日
リハーサル
9月12日〜11月30日
米国ツアー(QUIET RIOTの前座)
約50公演
12月11日
《Cozy Powell脱退表明、Galleyへの給与停止》
'85年1月3〜5日
リハーサル
1月11日
ROCK IN RIO '85出演
1月17日
リハーサル
1月19日
ROCK IN RIO '85出演
4人組最終日
2月5日
《Cozy、EL&POWELL結成へ》
MEMBER
VOCAL: David Coverdale
GUITAR: John Sykes
BASS: Neil Murray
DRUMS: Cozy Powell
ADDITIONAL KEYBOARD: Richard Bailey
音源にとんでもなく恵まれたツアー(長編プロショット×4本+SBD×2本)ではありますが、質・量の双方を満たすソースは残念ながらありません。質なら「DEFINITIVE SPOKANE」、量なら「KINGS OF THE NIGHT」が良いと思います。
BOOTLEG CD-R「SLIDER」
'84年6月29日ST. GALLEN REHEARSAL LIVE, SWITZERLAND
1. Walking in the Shadow of the Blues 2. Equipment trouble happened, Sykes suddenly played Ozzy's "I Don't Know"riff. 3. Guilty of Love 4. Fool for Your Loving
'84年6月30日ST. GALLEN FESTIVAL, SWITZERLAND
5. Ready an' Willing 6. Slow an' Easy (cut in) 7. Walking in the Shadow of the Blues 8. Love ain't No Stranger
9. John Sykes guitar introduction 10. Crying in the Rain〜Soldier of Fortune 11. Ain't No Love in the Heart of the City 12. Fool for Your Loving 13. Thank you audience〜Slide It In 14. Don't Break My Heart Again
4人組のリハーサルギグとデビューステージを収めたFM音源。音も演奏もあまり良くなく、初物価値とFool for Your Lovingの貴重度がポイントですね。詳しくは DIO with WHITESNAKE Tour '84を参照。
BOOTLEG CD「DEFINITIVE SPOKANE」
'84年7月24日SPOKANE COLUSIUM, WASHINGTON
DISC 2
1. Introduction 2. Gambler 3. Guilty of Love 4. Love Ain't No Stranger 5. Walking in the Shadow of the Blues 6. Slow an' Easy 7. Guitar intro. 8. Crying in the Rain 9. Soldier of Fortune 10. Ready an' Willing
「SLIDER」から半月後、本格的な全米侵攻を開始したばかりの前座ステージを収めたFM音源。前座故の曲数の少なさが難点ですが、サウンドは群を抜くベスト。詳しくは DIO with WHITESNAKE Tour '84を参照。
BOOTLEG CD「SPOKANE '84」
'84年7月24日SPOKANE COLUSIUM, WASHINGTON
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Love Ain't No Stranger 4. Walking in the Shadow of the Blues 5. Crying in the Rain 6. Slow an' Easy 7. Ready an' Willing
「DEFINITIVE SPOKANE」と同日同音源ですが曲順が一部間違っており、それに伴って尺も少し短い盤。同タイトルのDIOでもそうでしたが、どうにも不可思議な編集ですねぇ…。長らく定番ではありましたが、比較すると微妙に遠目に感じるサウンド。
BOOTLEG DVD-R「KINGS OF THE NIGHT」
'84年8月11日西武球場
1. Soundcheck 2. Opening 3. Gambler 4. Guilty of Love 5. Love Ain't No Stranger 6. Ready an' Willing 7. Slow an' Easy 8. Crying in the Rain 9. Guitar solo 10. Soldier of Fortune 11. Drums solo 12. Ain't No Love in the Heart of the City 13. Don't Break My Heart Again 14. Walking in the Shadow of the Blues
さておき、なによりもライヴ自体が非常に貴重。4人組はアメリカでの前座が多く、フルスケールのステージ自体が少ない。その上ドラムソロまで含む“完全なステージ”となると日本公演の数回(恐らく8公演中6公演)だけだったようで、“最も完全な4人組”の姿がプロショットで残っているのは奇跡的なわけです。また、そのドラムソロの映像自体も極めて重要で、Cozy個人のファンには無視できません。
>> COZY POWELL's Drums Solo特集へ
BOOTLEG DVD-R「KINGS OF THE DAY」
'84年8月12日西武球場
1. Opening 2. Gambler 3. Guilty of Love 4. Love Ain't No Stranger 5. Ready an' Willing 6. Slow an' Easy 7. Crying in the Rain 8. Guitar solo 9. Soldier of Fortune 10. Ain't No Love in the Heart of the City 11. Don't Break My Heart Again 12. Back stage 13. Walking in the Shadow of the Blues
ドラムソロがないと言っても「KINGS OF THE NIGHT」とは違ってオフィシャルで一切リリースされていない完全未発表の貴重度は高いですし(他3本が暗いせいもあって)日中のステージは妙に健康的で見やすい。どうでもいいですがSykesが着てるパチもんTシャツはどうにかならなかったのかと(苦笑
QUIET RIOTの前座としての米国ツアー(9月12日〜11月30日)
日本公演を終えたWHITESNAKEは再びアメリカへ。今度はQUIET RIOTの前座としてツアーです。「SLIDE IT IN」ツアー全体の半分となる約50公演(52〜53公演で4人組の3/4)がこのときのもの。私は1つも聴いたことがありませんが、AUD音源の情報(9月22日〜11月10日のうち5公演分)を見るにすべてが左の曲目で、恐らくコレが4人組でもっとも多くプレイされたセットリストのようです。
1. Gambler
2. Guilty of Love
3. Ready an' Willing
4. Love Ain't No Stranger
5. Crying in the Rain (incl. Guitar solo)
6. Slow an' Easy
7. Slide It In
Murrayは思い出すだけで嫌な顔になるというツアーは過酷を極め、ウンザリしたメンバーの人間関係は悪化。その後、12月にギャラの話し合いがもつれてCozy Powellが脱退を宣言してしまいます。
BOOTLEG DVD-R「ROCK IN RIO」
'85年1月11日ROCK IN RIO, DIO DE JANEIRO, BRAZIL
1. Opening 2. Walking in the Shadow of the Blues 3. Guilty of Love 4. Ready an' Willing 5. Love Ain't No Stranger 6. Crying in the Rain 7. Guitar solo 8. Ain't No Love in the Heart of the City 9. Slow an' Easy 10. Slide It In 11. Don't Break My Heart Again
昨年末に脱退宣言したCozyを含みつつ出演したROCK IN RIO '85をプロショットで収めたDVD-R。'85年のライヴはROCK IN RIOの2回だけです。
ハイライトを上げすぎたような画質はお世辞にも誉められたものではなく、暗闇に人物が浮かぶ画面を長時間見ていると結構疲れます。一方、抜けの良い音質は基本的に良好なのですが、ベースがやけに小さく演奏にも被ってくる客の口笛がかなり耳障り。多分歓声テープをオーバーダブしたと思うんですが、なんて邪魔なことを……。オマケにCoverdaleの調子も良くなさそう。ボロクソに言ってますが、脱退の決まっているCozyの熱演、Baileyの素顔は見所かも知れません。
Walking in the Shadow of the Bluesで始まるのは実にWHITESNAKE的なんですが、SLIDE IT INツアーはここまでず〜っとGamblerでショウを始めてきたので少し違和感もありますね。さらに前座セットでも落ちなかったSoldier of Fortuneもない。やはり長めのセットだったSUPER ROCK '84と比べるとGamblerの代わりにSlide It Inが加わっていますね。
BOOTLEG DVD-R「ROCK IN RIO 2ND NIGHT」
'85年1月19日ROCK IN RIO, DIO DE JANEIRO, BRAZIL
1. Walking in the Shadow of the Blues (cut in) 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Crying in the Rain 6. Guitar solo 7. Ain't No Love in the Heart of the City 8. Slow an' Easy 9. Slide It In
BONUS
OFFICIAL OUTTAKE '84年8月12日西武球場
1. Walking in the Shadow of the Blues
WHISTLE TEST '85年1月19日ROCK IN RIO, DIO DE JANEIRO, BRAZIL
2. Love Ain't No Stranger 3. Coverdale interview
Cozy Powellのラストステージです。こちらの特徴も上記とほぼ同様。会場もアングルも同じなので、ついウトウトするとどちらを見ているか分からなくなります(苦笑)ただ、口笛が抑え気味でベースも(モコモコしてますが)聞こえるので、良好な音質が楽しめます。まぁ下記CDの方を聴いちゃいますけどね……。
セットは11日とまったく同一ですが、トップのWalking in the Shadow of the Bluesは途中からで、アンコールのDon't Break My Heart Againはありません。ボーナスの「OFFICIAL OUTTAKE」はSUPER ROCK '84昼ステージのアップグレードだそうですが、画質はほとんど変わりません。音質は多少抜けが良くなってる……かな? 「WHISTLE TEST」は本編と同じステージながら画面が明るいTV放送。1曲だけでインタビューが被って完奏ではありません。
BOOTLEG CD「ROCK IN RIO '85」
'85年1月19日ROCK IN RIO, DIO DE JANEIRO, BRAZIL
1. Opening 2. Walking in the Shadow of the Blues 3. Guilty of Love 4. Ready an' Willing 5. Love Ain't No Stranger 6. Crying in the Rain 7. Guitar solo〜Crying in the Rain (ending) 8. Ain't No Love in the Heart of the City 9. Slow an' Easy 10. Slide It In 11. Don't Break My Heart Again 12. We Wish You Well (outro)
"SLIDE IT IN" WORKING VERSION
13. All or Nothing 14. Hungry for Love 15. Split It Out 16. Slide It In
「ROCK IN RIO 2ND NIGHT」と同公演の音だけCD。こちらにはWalking in the Shadow of the Bluesも全部入ってますし、Don't Break My Heart AgainやWe Wish You Wellまで収録されています。「DEFINITIVE SPOKANE」ほどでなくとも十分高音質な方でしょう。長編ライヴをこの音質で聴ける意義は大きく、特にAin't No Love in the Heart of the City、Don't Break My Heart Again、Slide It Inの3曲は貴重。ただ、音だけになるとCoverdaleの不調がクローズアップされちゃいますケドね(苦笑)。このCDにはさらに「SLIDE IT IN」のデモが4曲入っていますが、これについてはコチラ。
創設の相棒Micky Moodyとの離別から始まったツアーは、再建の相棒Cozy Powellの脱退とともに終了。Cozyの後任にはSykes推薦のTommy Aldridgeを誘うも断られ、さんざん難航して見つけたのが英国の重鎮Aynsley Dunbarでした。オ−ディションにはFrankie Banaliの姿もあったそう。
MEMBER
VOCAL: David Coverdale
GUITAR: John Sykes
BASS: Neil Murray
DRUMS: Aynsley Dunbar
ADDITIONAL KEYBOARD: Don Airey
また、この辺から裏の動きも激しくなり、Aldridgeのついでに(Murrayに内緒で)Rudy Sarzoまで誘ったり、Adrian Vandenbergにも再三に渡って加入要請したり……いい根性してますねぇ(苦笑)。ここまでに「ツインギター&オルガン」の基本構造からも脱皮していたわけですが、“一緒にやっていく”というバンド概念すら捨てようとしていたんでしょうね。顔ぶれこそ連続性を残してますが、「固定された作曲体制」「ギターオリエンテッドなメタルスタイル」「ハイトーンシャウト」……音楽、バンドのあり方、すべてが根底から様変わりしてしまいました。
BOOTLEG CD「1987 WORKING VERSIONS」
DEMO SESSIONS
1. Still of the Night 2. Looking for Love 3. Bad Boys 4. Is This Love 5. Crying in the Rain 6. Give Me All Your Love (instrumental)
REHEARSAL SESSIONS
7. Bad Boys 8. Give Me All Your Love 9. Is This Love
BONUS:DAVID COVERDALE LIVE
2000年12月15日WILTERN THEATER, LA
10. Give Me All Your Love 11. Here I Go Again 12. We Wish You a Merry Christmas 13. Burn (with G.Hughes & R.Montrose)
「DEMO SESSIONS」は曲によって音質は様々ですが、総じてなかなか良好。細かく分析するまでもなく一聴で完成テイクとはまるで違うことが分かります。一方の「REHEARSAL SESSIONS」は作曲段階で、リズムテープの上にリフや試しフレーズを乗せて曲の骨組みを探っている感じ。音質はデモに比べ数段落ちますが、高音質が求められるテイクでもないでしょう。期待の未発表曲/リメイク曲の類はありません。
「SERPENS ALBUS」の大ファン、研究家には特級間違いなしの資料音源なわけですが、これほどの大発掘にも関わらず、なんとなく流しでしか聴けない自分に少々驚きました。「SERPENS ALBUS」は私にとって入り口であり、BLUE MURDERも大好きです。それでもなお、こうして歴史を追って聴くと「これがWHITESNAKE!?」という想いばかりが強い。'84〜85年のツアーを聴いていても驚くばかりの大変化です。ホント、今さら言うこっちゃないですけどね。
NORTH WINDS/SNAKEBITE Tour /
TROUBLE Tour /
LOVEHUNTER Tour /
READY AN' WILLING Tour /
COME AN' GET IT Tour /
SAINTS & SINNERS Tour /
SLIDE IT IN Tour (Part 1 /
2 /
3) /
WHITESNAKE '87-90 /
WHITESNAKE '94-97 /
WHITESNAKE 2003-2009
MOODY/MARSDEN, THE SNAKES, COMPANY OF SNAKES, M3