SLIDE IT IN Tour (Part 1)
メンツの豪華さからとかく「最強の白蛇」と称されがちな6人組。一言で言うと“従来のアンサンブルにJohn Sykesのフラッシーなソロが沸き上がる”感じで、Sykesは全編で所狭しと大暴れ……でもありません。後の大爆発を知っているだけに少々もどかしくもあり「最強」という形容は疑問かな。
6人組で唯一知られるライン録音で11公演目。もともと音質の評判が良くなかった日ですが、このタイトルはわりと良好なSBD。バスドラの重低音もしっかり効いていてとても気持ち良く、聴きやすい素晴らしいサウンドです。「オフィシャル級」と呼ぶにはこもり気味で抜けが今ひとつ良くないですけどね。
同公演盤を2つほど。画像左の「NO HIBERNATION」はわりと昔からあるブートレッグで、この日の一番有名な盤。「CRYING IN GLASGOW」と比べるとさらにこもり気味でクリアランスは今ひとつ。時間も20秒ほど短いです。
理想のAUDサウンドで完全収録された「運命の4月」の3公演目。とにかく奇跡的なほど音が良い! 一部カットの盤もあるそうですが、これはまったくのノーカット。休養して体調を整えたCoverdaleの調子も良く、「ここでライヴ盤を録りたい」と言い出すほどの充実のステージは溜息が漏れるほど素晴らしい。音質・内容共に決定盤間違いないでしょうね。
「CRYING IN GLASGOW」も良いんですが、やはり完全収録じゃありませんし、なんというか……6人組のWHITESNAKEにはAUD録音が似合う。過渡期特有の曖昧さ、空気感までも真空パックできるドキュメンタリーとでも言えばいいでしょうか。これが4人組になると新たなスタイル・個性もビシッと固まって強烈にアピールするので、輝くようなSBDが似合うと思うんですけどね。
'84年2月17日〜4月5日
さて、Colin Hodgkinsonとソロ時代からの相棒Micky Moodyが抜け、Neil MurrayとJohn Sykesが入ったWHITESNAKE。Moodyの後任には後々本当に組むJimmy PageやAdrian Vandenberg、Dave Menikettiも候補だった……などという話はさておき、ここでは「SLIDE IT IN」ツアー序盤の約2ヶ月、Mel GalleyとJon Lordが残っている時期を取り上げます。便宜的にGalley、Lordいるラインナップを「6人組」と呼び、Galley離脱後を「5人組」、Lord脱退後を「4人組」とします。WHITESNAKEは昔から6人ですけどね(笑
'84年3月までのスケジュール
'83年10月
《John Sykes加入》
12月1日
《Neil Murrayに復帰要請》
12月8、12〜15日
リハーサル
'84年1月18日
TOP OF THE POPS出演
1月19〜28日
SykesとMurrayが「SLIDE IT IN」
の米国盤にオーバーダビング
2月2〜15日
リハーサル
2月17日〜3月13日
全英ツアー
19公演
3月15〜20日
ドイツツアー
5公演
3月21日
Ludwigshafen公演喉の不調でキャンセル
3月22〜29日
オフ
MEMBER
VOCAL: David Coverdale
GUITAR: Mel Galley
GUITAR: John Sykes
BASS: Neil Murray
DRUMS: Cozy Powell
KEYBOARD: Jon Lord
一方でGalleyのコーラス、Lordのオルガンが相変わらず素晴らしくもあるのですが、古式ゆかしいブリティッシュ色を振りまくほど、実はMicky Moodyが恋しくなる(笑)。あの独特なトーンとスライドがないだけでバンドの根本が“ハードなブルーズロックバンド”から“ブルージーなハードロックバンド”へとシフトしたようにも感じます。大らかさが消え、よりシリアスなムードになったとでも言いましょうか。「Sykesが入った」よりも「Moodyが去った」を強く感じてしまうのは“Classic SNAKE”を愛するが故の性なのかもしれません。
BOOTLEG CD-R「GAMBLERS IN LIVERPOOL」(AUD録音)
'84年2月24日ROYAL COURT THEATER, LIVERPOOL
DISC 1
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Slow An' Easy 7. Crying in the Rain〜Soldier of Fortune
DISC 2
1. Keyboard solo 2. Drums solo 3. Ain't No Love in the Heart of the City 4. Fool for Your Loving 5. Thank You Audience 6. Slide It In 7. Don't Break My Heart Again
6人組や5人組は興味深いAUDも多いので聴いたブツは片っ端から書いていきますね。で、このブートはSykes加入から6公演目のツアー極初期ライヴ。クレジットは「2月23日」となってますが、正しくは「2月24日」だそう。この頃からドラムソロがMarsになります。
ヌケが良く低音も豊かで、なかなかハイレベルのAUDですね。ツアー序盤ながらアンサンブルもしっかりしていてフレッシュな感じが小気味良く、Coverdaleも溌剌としてる。なんか爽やかなライヴです。心持ちピッチ高めかな?という気もしますが、それが妙に似合ってる(笑
BOOTLEG CD-R「CRYING IN GLASGOW」
'84年3月1日APOLLO, GLASGOW, SCOTLAND
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Crying in the Rain 7. Soldier of Fortune 8. Ain't No Love in the Heart of the City 9. Fool for Your Loving
瞬間的な音飛び(というかワープ)が散見し、Slow an' Easy、キーボード&ドラムソロ、Slide It In以降のアンコールが未収といった欠点もありますが、なにせ貴重ですからね。私は気にしません。ステレオなのでSykes/Galleyの振り分けもよく分かり、愁いを湛えるCoverdaleもイイ感じ。プレス盤でないのが実に残念!
BOOTLEG CD「NO HIBERNATION」
BOOTLEG CD-R「GAMBLER COME BACK」
'84年3月1日APOLLO, GLASGOW, SCOTLAND
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Crying in the Rain (Incl. Soldier of Fortune) 7. Ain't No Love in the Heart of the City 8. Fool for Your Loving
一方の画像右「GAMBLER COME BACK」は、上記2タイトルとは比べ物にならないほど音が悪い。他にも違いがあるかも知れませんが、マトモに聴き切る気になれません(苦笑)。時間も「CRYING IN GLASGOW」より1分ほど短いですし、ダメ盤ですね。
BOOTLEG CD-R「BAND OF GYPSIES」(AUD録音)
'84年3月3日WEMBLEY ARENA, LONDON
DISC 1
1. Opening〜Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Slow An' Easy 7. Crying in the Rain 8. Soldier of Fortune
DISC 2
1. Keyboard solo 2. Drums solo 3. Ain't No Love in the Heart of the City 4. Fool for Your Loving 5. Thank You Audience 6. Slide It In 7. Don't Break My Heart Again 8. We Wish You Well
ラストにDJも入る放送用FMですがAUD録音。放送スタッフがマイクで集音したんでしょうか? 放送するならラインで録れよ!
まぁ、そうは言っても昔からの定番のアップグレード盤だけあってかなり良好なサウンドで聴き応えも十分。後述の「1984」が存在しなかったらマストアイテムだったかも。
2月17日から始まるUK〜ドイツツアーを順調に続けるWHITESNAKEでしたが、3月20日のOffenbach公演をこなしたところでCoverdaleの喉に故障が起こり、ツアーを一旦休止する事態に陥ります。約一週間の休養のあと3月30日にリハーサルを行い、4月はロンドンからツアーを再開、一度はキャンセルしたドイツの振り替え公演へと歩みを進めることになります。
'84年3月末〜4月のライヴスケジュール
3月20日
Offenbach公演
SLIDE IT INツアー24公演目
3月21日
Ludwigshafen公演Coverdaleの不調でキャンセル
3月22〜29日
オフ
3月30日
リハーサル
4月1日
Hammersmith公演
ツアー再開初日
4月2日
Hammersmith公演
4月4日
Nottingham公演
4月5日
Manchester公演
6人組最終日
4月7日
《Mel Galley負傷》
4月8日
Ludwigshafen公演
5人組初日
4月10日
Copenhagen公演
4月11日
Lund公演
4月13日
Goteborg公演
4月14日
Stockholm公演
4月16日
Stockholm公演
5人組最終日(TV収録)
4月25日
《Jon Lord、再結成DEEP PURPLEに参画》
ところがドイツへ移動した4月7日にGalleyが負傷、一度は延期したライヴを再びキャンセルできず、Galley抜きの5人組で日程を強行します。そして6公演こなして一息ついたところで今度はJon Lordが脱退、結果として'84年4月は6人組から4人組へと激変する「運命の4月」となったわけです。
そんなわけで'84年4月の約2週間は興味深い音源が目白押し。ツアーを再開した6人組の4公演+5人組の6公演=計10公演、いずれはコンプリートしたいと思っとります。
BOOTLEG CD「LONDON BITES」(AUD録音)
'84年4月1日HAMMERSMITH ODEON, LONDON
DISC 1
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Slow an' Easy 7. Crying in the Rain (incl. Soldier of Fortune) 9. Keyboard solo 10. Drums solo
DISC 2
1. Ain't No Love in the Heart of the City 2. Fool for Your Loving 3. Thank You Blues〜Slide It In 4. Don't Break My Heart Again
'84年4月16日"MANDAGSBORSEN" TV SHOW, STOCKHOLM
5. Gambler 6. Guilty of Love 7. Love Ain't No Stranger 8. Ready an' Willing
ツアー再開の一発目を良好なAUDで収めた大定番タイトル。初めて6人組を聴いたのはコレでした。サウンドは好印象なんですが、テープ速度が速くピッチが高いのが難点。定位も左寄りかな。ショウの内容が良いだけに惜しいタイトルです。
ボーナスに5人組のSBDライヴが4曲(4月16日)入っていまして、「運命の4月」の初日と最終日をパックしたCDとなっています。ボーナスの詳細はコチラ。
BOOTLEG CD-R「1984」(AUD録音)
'84年4月4日ROYAL CENTRE, NOTTINGHAM
DISC 1
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Slow an' Easy 7. Guitar introduction〜Crying in the Rain〜Soldier of Fortune
DISC 2
1. Keyboard solo 2. Drums solo 3. Ain't No Love in the Heart of the City 4. Fool for Your Loving 5. Need Your Love So Bad〜Slide It In 6. Don't Break My Heart Again〜We Wish You Well
そしてドキュメンタリーなればこそ一片の欠けもない完全収録が殊更重要で、本作はその意味でも究極タイトル。唯一の欠点はCD-Rであることくらいでしょうか。WHITESNAKE全音源の中でも屈指のお気に入りです。
BOOTLEG CD-R「HEART OF MANCHESTER」(AUD録音)
'84年4月5日APOLLO THEATRE, MANCHSTER
DISC 1
1. Gambler 2. Guilty of Love 3. Ready an' Willing 4. Love Ain't No Stranger 5. Here I Go Again 6. Slow an' Easy 7. Crying in the Rain (cut out)
DISC 2
1. Keyboard solo 2. Drums solo 3. Ain't No Love in the Heart of the City 4. Fool for Your Loving 5. Thank You Audience 6. Slide It In 7. Don't Break My Heart Again
「運命の4月」の4公演目にして6人組のラストギグ。こもったAUDサウンドにビックリしますが、すぐに回復……しても、あまり良い音とは言えないレベルですねぇ。聴けないほど酷くはないんですが、ここで挙げた中では一番聴きづらい。音飛びも散見しますし、Crying In The Rainの途中でテープが切れています。最後の貴重度は捨てがたいものの、それだけという気もします。
NORTH WINDS/SNAKEBITE Tour /
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SLIDE IT IN Tour (Part 1 /
2 /
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WHITESNAKE '87-90 /
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WHITESNAKE 2003-2009
MOODY/MARSDEN, THE SNAKES, COMPANY OF SNAKES, M3